遺族年金制度の見直しと生命保険をどう考えるか
もしも一家の大黒柱が亡くなったとき、遺された家族の生活を支えるために用意されているのが「遺族年金」です。
この制度を正しく理解することで、民間の生命保険に頼りすぎず、自分の家庭に合った保障を組み立てることができます。
特に近年、制度の見直しが進んでおり、内容の変化が家計に与える影響も無視できません。この記事では、遺族年金制度の基本と改正のポイントを確認しながら、生命保険の見直しについて考えていきます。
遺族年金とは?
遺族年金には大きく分けて2種類あります。
- 遺族基礎年金:国民年金に加入していた人が亡くなった場合に支給される。対象は「子のある配偶者」または「子」。
- 遺族厚生年金:厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、主に配偶者や子、父母などに支給される。
いずれも受給には一定の要件があり、保険料の納付期間や扶養関係などが判断基準となります。支給額は加入期間や報酬額によって異なり、家庭によって大きく差があります。
2028年から制度が大きく変わる
2023年に成立した法律により、遺族年金制度は段階的に見直されることが決まっています。主な変更点は以下の通りです。
- 子どもがいない配偶者に対する遺族厚生年金が、有期給付(原則5年)に変更
- 男女で異なっていた受給条件が統一される
- 「中高齢寡婦加算」という制度が廃止される
改正の適用は2028年度から始まり、2040年代前半にかけて段階的に広がっていく予定です。これにより、これまで長期的に支給されていた給付が短縮されたり、受け取れなくなるケースも出てきます。
(参考:厚生労働省発表資料、NHK報道2023年6月)
改正が家計に与える影響
今回の制度改正で最も大きな影響を受けるのは、「子のいない配偶者」や「中高年世代の専業主婦・主夫層」です。
これまで遺族年金である程度の生活が成り立つと考えられていた層にとって、老後に向けた収入が大きく減る可能性が出てきました。
生活費、住宅ローン、教育費といった家計の支出を、遺族年金だけでまかなえるとは限りません。特に改正後は、「年金だけでは不十分な部分」を民間の保険でどう補うかが重要なテーマになります。
生命保険の見直しが必要な理由
遺族年金をしっかり把握しておけば、生命保険の保障額をより合理的に設定できます。
たとえば、すでに子どもが独立している世帯や、共働きで十分な貯蓄がある家庭では、高額な保険は必要ない場合もあります。
一方で、これから教育費や住宅費がかかる家庭では、遺族年金だけでは明らかに不足するため、その差額を補う保障設計が必要です。
保障額の目安は「今の生活費 × 必要な年数 − 公的保障の想定額」で計算できます。この差を埋めるためにどれだけの生命保険が必要かを見直すことで、過剰な保険料の支出を防ぐことができます。
定期的な見直しが家計を守る
保険は一度入ったら終わりではありません。制度が変われば、公的保障の内容も変わり、自分のライフステージも変わります。
5年に一度でも良いので、「もしものときに必要な金額はどれくらいか」「今の保障で足りるか」を確認しておくことが、長期的な家計防衛につながります。
特に今回のように制度改正が予定されている場合は、早めに自分のケースを試算しておくと安心です。
おわりに
遺族年金は、民間の生命保険を考えるうえで欠かせない公的保障です。今回の改正で「これまで当たり前と思っていた支え」が見直される今こそ、保険の内容を一度立ち止まって見直すチャンスです。
遺族年金と生命保険、それぞれの役割を理解し、不足する分を無理のない範囲でカバーする。
それが結果的に、節約と安心を両立させる道となります。
